MIA (Micro Implant Anchorage) を応用した上下前歯部圧下症例

従来の矯正治療において, 固定源は常に重要な問題でしたが、矯正用のインプラントが開発されてからは 、歯牙の固定源に頼らずにM.I.A. (Micro Implant anchorage:以下MIAと記載)を用いて術者が必要に応じて好きな場所に固定源を設置することが出来る様になりました。
今回は従来の矯正治療では困難とされてきた歯歯槽骨内に押し戻す「圧下」という方法をMIAを応用して行った症例を紹介します。
成人の患者様で上下顎小臼歯4本を抜歯してスペースを確保した後、上下の前歯6本ずつを後方に移動させる症例です。

ゴムで上下犬歯を後方に引っ張っています。

約1年後に犬歯はある程度後方に移動できましたが上下前歯のかみ合わせが深くなってしまいました。そこで犬歯の後方移動を続けつつ上顎前歯部にMIAを2本埋入し上顎前歯4本を上方に圧下していくことにしました

2か月後上顎前歯4本が上方に圧下され、前歯のかみ合わせが浅くなっています。次に下顎前歯6本がまだ奥歯に比べて上に延出していたので下顎もMIAで圧下していきます。

3ヶ月後に上顎犬歯の後方移動が完了しました。下顎前歯6本の圧下が完了したら下顎6前歯を後方にまとめて移動していきます。上顎の4前歯は下顎の前歯が当たるのでまだ後方に引っ張ることはできません。

6ヶ月後の写真です。下顎前歯6本の圧下が完了したので下顎6前歯を後方にまとめて移動してく装置を入れています。下顎6前歯が後方に移動したら上顎4前歯を後方に入れて行きます。

約2ヶ月で下顎6前歯の後方移動が完了したので、上顎6前歯の隙間を埋めていきます。

6ヶ月後の写真です。
上顎6前歯の隙間も閉じてかみ合わせの深さも改善したので矯正処置終了に入って行きます。この時点で下顎は矯正が終了したので装置をはずしてリテイナーをセットしました。
 
左側が5ヶ月後の写真です。上顎の装置がはずれ矯正終了です。
右側は2年前のかみ合わせが深かった時の写真です。
比較すると、かみ合わせも浅くなって改善され上下前歯の隙間も無くなっています。
今回は2年間かかりましたがMIAを使用していなかったら、このケースの前歯のかみ合わせの深さはこれ程まで改善されず、患者様の健全な口腔環境は得られなかった症例です。
矯正治療もMIAができてから対応範囲がひろがりました。
歯並びが気になる方はご相談下さい。
<院長:喜島>

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