お子さんの歯のケガ、慌てずに対応するために

お子さんが転んで歯をぶつけた、口から血が出ている。そんなとき、保護者の方が慌ててしまうのは当然のことです。
お子さん自身も泣いていて、保護者の方も「このままで大丈夫?」「歯医者さんに行ったほうがいい?」と不安になることでしょう。
だからこそ、いざというときに「まず何をすればよいのか」をあらかじめ知っておくことが大切です。
落ち着いて適切に対応することで、お子さんの不安を和らげるだけでなく、その後の経過をより良くすることにもつながります。
今回は、お子さんが歯をぶつけたときに、慌てずに確認しておきたいポイントや、ご家庭での対応についてわかりやすくご紹介します。
落ち着いて確認すべきこと
お子さんが歯をぶつけた時、まずは落ち着いて以下の点を確認しましょう。
- 出血はどこから出ているか(唇・歯ぐき・歯の根元など)
- 歯がグラグラしていないか
- 歯の位置がずれていないか
- 歯が欠けたり、折れたりしていないか
- 歯が抜け落ちていないか
- お子さんがどこを痛がっているか
出血があると驚いてしまいますが、口の中は血流が多いため、小さな傷でも出血が多く見えることがあります。
まずは清潔なガーゼなどで出血している部分をやさしく押さえ、止血しながら歯や口の中の状態を確認してください。
応急対応で「やってはいけないこと・ベストな対応」
お子さんが歯や口をケガしたときは、慌てずに適切な応急処置を行うことが大切です。ここでは、ご家庭でできる対応と、避けていただきたいことをご紹介します。
口の中や傷口に汚れがある場合
砂場で転んだり、地面に顔をぶつけたりして、傷口に砂や土などの汚れが付いている場合は、水道水でやさしく洗い流してください。
血液が固まってしまうと、砂や汚れを取り除きにくくなることがあります。
本来は生理食塩水のほうが刺激が少ない場合もありますが、ご家庭では水道水で洗い流せば十分です。
無理にこすったり、傷口を強く触ったりしないようにしましょう。
歯が抜けてしまった場合(特に永久歯)
永久歯が根元から抜けてしまった場合は、できるだけ早く適切な処置を受けることが重要です。
状況によっては、抜けた歯を元の位置に戻せる可能性があります。
× やってはいけないこと
- 抜けた歯を水でゴシゴシ洗わない
歯の根の表面には、歯を支えるために大切な「歯根膜」が付いています。強くこすると、この組織を傷める可能性があります。 - 歯を乾燥させない
歯根膜は乾燥に弱いため、抜けた歯をそのまま放置することは避けてください。
● ベストな対応
- 可能であれば、抜けた歯を元の位置に戻した状態で受診する
ただし、お子さんが小さく、誤飲の心配がある場合などは無理に戻さないでください。 - 牛乳などの保存液に入れて、歯を乾燥させないようにして持参する
適切な保存液がない場合は、濡らした清潔なティッシュなどで歯を乾燥させないようにして、速やかに受診しましょう。
※学校や保育園、幼稚園で受傷するケースも多くあります。その場合は保健室に歯の保存液(ティースキーパー等)があるか確認してみましょう
いちばん大切なのは「時間」です!
抜けた歯を元に戻せるかどうかは、抜けてから受診するまでの時間や、歯の保存状態などによって大きく左右されます。
「どうしたらいいかわからない」と迷った場合も、自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早く歯科医院へご連絡ください。
子どもに多い歯の外傷
お子さんに多い外傷は、以下のようなものです。
軽度の外傷
- 歯をぶつけて唇が腫れる
- 唇の内側が切れる
- 歯茎から出血する
これらは比較的軽度で、適切な処置をすれば問題なく治癒することがほとんどです。
やや重度の外傷
- 歯がグラグラする(亜脱臼)
- 歯が奥に押し込まれる(陥入)
- 歯の一部が欠ける、折れる
亜脱臼や陥入の場合は、麻酔をして歯を元の位置に戻す処置が必要になることがあります。
なお、縫合が必要になるほどの大きな傷は、実際にはそれほど多くありません。
当院でも実際に縫合が必要だったケースはほとんどありません。
多くの場合、見た目ほど重症ではないことが多いので、まずは落ち着いて受診してください
歯の外傷を診ることが多いのは、3~6歳くらいのお子さんです。
特に4~7歳頃までは、外傷で来院されるケースが目立ちます。
この年齢のお子さんは、体を動かすことが大好きで活発になる一方、まだ身体能力が十分に発達していません。
危険を察知しても避けきれない、転びそうになっても手が出ない――そんな時期だからこそ、歯をぶつけてしまう事故が起きやすいのです。
よくある外傷の場面
- 廊下や教室で走っていて転ぶ
- 友達とぶつかる
- 階段や手すりに顔をぶつける
- 鉄棒から落ちる、鉄棒に口をぶつける
- 外で遊んでいる最中に転倒する
学校や保育園、幼稚園で受傷するケースも多くあります。
これらは比較的軽度で、適切な処置をすれば問題なく治癒することがほとんどです。
また、3~6歳頃は前歯がまだ乳歯の状態であることが多く、外傷の多くは乳歯に起こります。
永久歯が割れたり折れたりするケースは、乳歯に比べると少ない傾向にあります。
すぐに受診が必要なケース
以下のような場合は、できるだけ早く歯科を受診してください。
- 歯が根元から抜けている(特に永久歯)
- 歯が大きく欠けて、中にピンク色や赤い部分が見える(神経が露出している可能性)
- 歯の位置が明らかにずれている
- 出血が止まらない
- 歯がグラグラして今にも抜けそう
神経が露出している場合は、早急な処置が必要です。歯が欠けた断面に赤みがある場合は、すぐにご連絡ください。
お子さんの歯のケガは、突然起こるものです。その時に慌てないためにも、「こういう時はこうすれば良い」という知識を持っておくことが大切です。当院では、お子さんの外傷に迅速に対応できる体制を整えています。判断に迷う時は、まずはお電話でご相談ください。状況をお聞きして、すぐに来院すべきか、様子を見て良いかをお伝えいたします。
