先日、国立研究開発法人 理化学研究所 器官誘導研究 チームリーダー 辻 孝 先生の
「未来の歯科治療としての歯の再生」と題したご講演を拝聴してきました。
これまでの再生医療の話から始まって、今後2035年頃までの近い将来の再生医療の話まで、
とても興味深い話でした。
再生医療の歴史を簡単に伝えますと、
第一世代は、幹細胞移入療法 実用化されているのは骨髄移植です。
第二世代は、組織再生 皮膚や軟骨などの再生
第三世代は、臓器の再生として現在開発中
とのことで、既にマウスの実験段階で歯の再生には成功しているのです。.
ところで、ここで歯の治療の歴史について考えてみると
抜けてしまった歯の部分の治療としては、日本最古の入れ歯として戦国時代の尼僧が使用していた
木製の義歯や海外では紀元前5世紀に針金で留めたブリッジ、紀元前1世紀には真珠貝を加工した
インプラントが見つかっています。
しかしながらこれらはすべて、無くなった歯を何か他の材料で補ったもので現在の歯科の治療法と
基本的な考え方(別のモノで補うこと)の部分では何も変わっていません。
つまり、見方を変えれば「歯の治療のパラダイムシフトは紀元前から起きていない」ということです。
ところが、歯の再生治療は無くなった歯の場合でも元の状態に機能を回復することです。
これは、歯という臓器の再生になるので、他の材料で補うのではなくまさに、元の歯のように噛む
感覚も痛みも感じる(つまり歯の神経の再生)歯を手に入れる事ができるというモノです。
まさに、歯の治療のパラダイムシフトです。
これが未来の歯科治療としての歯の再生療法となります。
これが、日本の技術として開発されているのはとても素晴らしいことだと思います。
2025年~2030年にかけてはヒトに応用する臨床治験も開始されるだろうとのことです。
歯の再生療法が確立されれば、近い将来、歯を失った多くの人々であっても再び健康で快適な食生活を取り戻すことができるということになります。
未来の歯科医療としてとても明るくて価値のあるお話を聴くことができました。
歯の再生療法は、高齢化社会においても健康寿命を延ばすことになり、アンチエイジングにも貢献する事になります。
一般的に実用化されるのは30年ぐらい先になるでしょうが、それでもとても有意義な講演でした。
歯科医療の将来が楽しみです。
<院長:喜島>
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