2026.02.25
食器の共有が虫歯の原因となるというのは誤り
歯科医師の喜島毅哲です
。今回は、お子様の歯の健康について、保護者の方々がよく抱く疑問や不安にお答えします。
特に、「食器の共有で虫歯菌がうつる」という話はよく耳にするかと思いますが、
その科学的な根拠と、本当に大切な予防策について詳しくご説明します。
「食器の共有は虫歯の原因になる」という誤解
「お母さんが使ったスプーンやコップを子どもが使うと、虫歯の原因となる菌がうつってしまう」という情報は、
以前から広く知られていました。しかし、この情報には科学的に強い根拠があるわけではありません 。
実は、近年の研究で、親御さんの口腔細菌は食器の共有が始まる
ずっと前からお子様に伝わっていることが分かっています 。
例えば、生後4か月の乳児でも、すでに母親の口腔細菌が確認されているケースがあるのです 。
食器の共有は、離乳食が始まる生後5~6か月頃からですが、
それ以前から日常的な親子のスキンシップを通じて、お子様は親御さんの唾液に触れているのです 。
そのため、食器の共有を避けるといった方法だけで、口腔細菌の感染を気にしすぎる必要はありません 。
さらに、う蝕(虫歯)の原因は、ミュータンスレンサ球菌という特定の菌だけではありません 。
お口の中には数百種類もの細菌が存在し , その多くが酸を作り出して虫歯の原因となります 。
また、虫歯の発生には、砂糖の摂取や毎日の歯磨き習慣など、非常に多くの要因が複雑に絡み合っています 。
実際に、日本で行われた3歳児を対象とした研究では、
親と食器を共有していたグループとそうでないグループの間で、虫歯との関連性は認められませんでした 。
このことからも、食器の共有が直接的な虫歯の原因ではないことがわかります。
本当に大切なのは「毎日のケア」
では、お子様の歯を虫歯から守るために、本当に重要となるのは何でしょうか。
それは、日々の生活の中で実践できる、確実な予防ケアです。
砂糖の摂取を控える: 砂糖は虫歯菌の活動を活発にする最大の原因の一つです 。お菓子やジュース、スポーツドリンクなど、お子様が口にするものの砂糖の量に注意し、摂取を控えめにすることが大切です。
丁寧な歯磨き(仕上げ磨き)の徹底: 親御さんからお子様へ口腔細菌が伝わってしまったとしても、歯垢を毎日しっかりと取り除くことで、虫歯は効果的に予防できます 。特に、お子様自身では磨ききれない部分が多いため、保護者の方による「仕上げ磨き」は非常に重要です。生えたての歯は特にデリケートなので、丁寧なケアを心がけましょう。
フッ素の積極的な活用: フッ素は、歯の再石灰化を促し、歯質を強くする働きがあります 。多くの研究でその虫歯予防効果が確認されており 、フッ素配合歯磨剤を適切に利用することが推奨されています。
当院では、お子様のお口の状態に合わせた歯磨き指導や、フッ素塗布などの予防ケアも積極的に行っています。
ご家庭でのケアに加えて、定期的な歯科健診でお子様の成長を見守っていくことが、
健康な歯を育む上で最も大切なことです。
虫歯の原因について、何かご不明な点がありましたら、お気軽に当院スタッフにご相談ください。
皆様のご来院を心よりお待ちしております。

〈歯科医師:喜島毅哲〉
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