前回に引き続き今回はオステルISQアナライザの使用法と診断をお伝えします。
(前回:2014年11月30日)
●オステルISQアナライザによるインプラント安定度の測定
インプラントの埋入オペ後は、数ヶ月の期間をおいて骨とインプラントがしっかり結合しているのを待ちますが、骨と結合している度合いを判断するのは困難で、従来は埋入後の期間や経験に頼って判断をせざるを得ない状況でした。
その骨と結合している度合いを数値化する機械がオステルISQアナライザです。この器械を用いることで安定度を数値化して判断の参考にすることができます。
オステルISQアナライザでは測定した結果をISQ値として表示します。
ISQとはImplant Stability Quotient(インプラント安定指数)です。
●使用法
スマートペグと呼ばれるペグをインプラント本体にセットし非接触のまま測定します。
ISQ値は76でした。
●診断
70以上であれば臨床的な咬合力負担が可能で単インプラント単独で歯を被せ物をしても独高い安定性が得られると考えられます。
数値化されて記録に残せるので、インプラントの被せ物をした後の経過観察にも非常に参考になります。
成功したインプラントはISQが65±5の場合に多く、埋入時のISQが65以上の場合は経時的にISQが変化しないかわずかに減少する傾向があり、埋入時のISQが50~60の場合には経時的にISQが上昇し、埋入時のISQが50以下の場合には失敗する傾向にあった。このような結果からISQが60以上で早期荷重が、60~65以上で即時荷重が可能と考えられています。(資料:公益社団法人日本口腔インプラント学会)
●当院の症例では
平成26年5月13日と平成26年11月13日に測定したISQ値がそれぞれ
右上第一大臼歯相当部(6┛)のインプラントのISQ値が63→75
右上第一小臼歯相当部(4┛)のインプラントのISQ値が79→79
になり上記の資料の結果と一致していました。
同じ症例のインプラント埋入前と埋入オペ直後と、インプラント上部の被せ物を入れた時の比較レントゲンを載せておきます。
特に、ISQ値の上がっている右上第一大臼歯相当部(6┛)のインプラントの周囲の骨が形成されているのがわかります。
今後も、益々のインプラントの安定性の向上に役立てていきたいと思います。
<院長:喜島>