こんにちは、院長の喜島です。
前回までは、“付着歯肉がある場合の簡単な前歯部審美回復”で症例写真を出しましたが、それは全て天然歯がある場合の症例でした。
今回は、前歯が1本なくなった状態をインプラントで審美的に回復した症例をご紹介します。
前歯部のインプラントで特に気をつけなければならないのは、天然歯との自然な調和です。せっかくインプラントをいれても歯肉のラインが極端にズレていたりすると審美的な回復をしたとは言えません。
また、特に前歯部のインプラントを入れた後は、長期間の審美性を維持するために骨吸収がおこりにくくする配慮が必要になってきます。
そこでこの症例は、プラットホームスイッチングという方法でインプラントを埋入しました。
プラットホームスイッチングシステムとは骨内に埋め込むインプラント本体(人工歯根の部分)とその上部にくる歯の土台の部分(アバットメント) の連結部で、歯の土台になる部分(アバットメント) が一回り小さくなっているシステムのことをいいます。
インプラント本体は骨上縁部より1ミリ縁下を目安として埋入します。
このプラットホームスイッチングシステムより、インプラント本体は骨の下の部分になり口腔内細菌感染などの骨吸収に繋がる原因をインプラントから遠ざけることが可能となります。
結果として、骨の吸収を防ぐことが出来ると同時に、血流量も増え、細菌に対する粘膜の抵抗力も増えます。
この方法を用いた症例を以下に提示します。
2009/08/31インプラン導入前の状態です。右上の前歯がなくなっています。
ここにプラットホームスイッチングシステムでインプラントを埋入しました。
2013/01/17同部プラットホームスイッチングシステムでインプラント処置をした後の約3年経過した写真です。インプラントの土台の部分の歯肉も健康な状態を保っています。
2013/01/17同部に補綴物(セラミッククラウン)を装着した状態です。
インプラント処置後の経過観察で3年経っていますが、骨吸収も歯肉の後退も認められず、健康な状態を保っており、尚かつ天然歯の調和も保たれています。
レントゲンの状態もインプラント埋入部の骨レベルの状態が良好です。
赤い矢印の部分はプラットホームスイッチングの上部の骨を示しています。
プラットホームスイッチングをしたインプラントの上部の骨も年数が経つと共に骨が少し添加されたようにも見えます。
患者様も自分の歯が失われたことやインプラントを入れた事自体も忘れるぐらいに、自然で違和感のない状態を維持しています。
今回は当院で行っている自然で調和のとれた審美的症例をご紹介させて頂きました。
インプラントは保険外診療となりますが違和感無く毎日の食事ができるという事はとても素晴らしいことです。
QOL(クオリティオブライフ:生活の質)を向上させる治療としてはとても価値ある処置だと思います。
またご興味のある方はご相談下さい。
院長 喜島