食べることは生きること、食育について子どもと一緒に考えてみましょう!
『食育』とは、人間が健全な食生活を送ることができるよう、さまざまな経験を通じて「食」への知識や興味を育み、食を選択する力を習得することを示します。
食育について考えることで、「健康な歯」であり続けることの大切さ、「自分の歯」で美味しく食べ物を食べられることの幸せさを学ぶことができます。
子どものうちからの健康的な食習慣は、虫歯や歯周病の予防に重要な役割を果たします。特に、砂糖や酸性食品の摂取を制限し、栄養バランスの取れた食事を心がけるほか、歯並びにも直結するかむ力を発達させることが重要なのです。
食育健康アドバイザーが在籍
当院では、食育健康アドバイザー資格を取得したスタッフが在籍し、食生活の面からもお口の健康をサポートしています。食習慣はむし歯や歯周病、歯並びなどに大きく関係しています。患者さま一人ひとりの生活習慣に寄り添いながら、歯の治療だけでなく、日々の食事や生活習慣についても分かりやすくアドバイスいたします。

食育が歯の健康にもたらす影響
歯や顎の成長を助ける
柔らかい食べ物ばかりを食べていると、顎の筋肉が十分に使われず、顎の骨の成長が遅れてしまうことがあります。その結果、歯が並ぶスペースが足りずに歯並びが悪くなったり、噛み合わせに影響が出たりすることもあります。一方で、少し噛みごたえのある食材を取り入れることで、顎の筋肉が自然と鍛えられ、骨の発達を促すことができます。噛む力を育てることは、見た目の成長だけでなく、歯を健康に保つための土台づくりにもつながるのです。
虫歯のリスクを低下させる
食育では、甘いものを食べたら歯を磨く・だらだら食べを避けるといった習慣を自然と身につけることができます。また、カルシウムやリン、ビタミンDを含む食材をバランスよく摂取することで、歯の再石灰化を助け、強い歯を育てることにもつながります。さらに、よく噛むことによって唾液の分泌が活発になり、口の中を清潔に保つ働きが強まります。唾液には細菌を洗い流す作用や、歯の再石灰化を助ける成分が含まれており、虫歯予防にも効果的です。
しっかり噛む力を育む
しっかり噛むことで唾液の分泌が増え、食べ物の消化を助けるだけでなく、脳が活性化し集中力の向上にもつながります。また、噛む回数が増えると満腹中枢が刺激されるため、食べ過ぎを防ぎ、肥満予防にも効果的です。さらに、噛む力をしっかり育てることは、発音の明瞭さや表情筋の発達にも影響します。よく噛む習慣は、食べる力だけでなく話す力や笑顔を作る力にもつながる、大切な成長の土台なのです。
年齢別の取り組み方について
離乳食期(0~2歳頃)

2歳頃までの離乳食期に大切なのは、「食事を楽しむ」ことです。手づかみで大胆に食べても構いません。それよりも食べるのを好きになることや、さまざまな食材や味つけがあると知ることがこの時期には重要です。また、食べたい時に食べるのではなく、きちんと生活リズムに合わせた食事をとり、生活習慣を確立することも大切です。
幼児期(3~5歳頃)

幼児期は、食に対して最も関心を抱きやすい時です。そのため、この時期にはできるだけ家族で食卓を囲み、スプーンやフォーク、箸といった食具の使い方を身に付けさせましょう。また、食材と食事との関係を知ることも重要です。農業体験や調理などの経験により、一層食への関心を高めることができるでしょう。
学童期(6~12歳頃)

小学生は正しい食習慣やマナーが形成される時期です。この時期に朝、昼、晩の3食をきちんと食べることで正しい食生活のリズムと将来への基礎を身に付けることができます。特に、抜いてしまいがちな朝食が重要です。朝食は1日の活力源となるものです。眠っている間に使ったエネルギーを補給し、1日を快適に始めるために欠かせないものですが、現代では朝食を食べない子どもの増加が問題となっています。
また、学童期には食品を選ぶ、調理をするといった食の基礎や、お箸を正しく持つ、「いただきます」「ごちそうさま」と挨拶をするなどのマナーを身に付けさせましょう。小学生は好奇心が旺盛な時期です。食材がどのようにしてできるのか、食品の表示には何が書いてあるのか、自分の住んでいる郷土ではどのような食事が食べられてきたのかといった知識を身に付けること、食べ残しをもったいないと思う気持ちを育むことも大切です。
歯の健康を守る家庭での食育活動

家庭での食育はそれほど難しく考える必要はありません。普段の食事作りに一工夫を加えるだけでも、子どもにとっては大切な食育となります。
1. 子どもと一緒に料理をする👦
子どもと一緒に料理をするというのも、大切な食育です。どのようにすれば食材が料理に変わるのかを体験させることは、子どもにとって非常に重要です。たとえば、サラダを例に考えてみましょう。買ってきたレタスなどの葉物野菜は、まず水で洗わなければいけません。「なぜ水で洗わなければならないの?」と考えることが、子どもにとっては重要です。土から野菜が生えているということを知らない子どもも決して少なくありません。野菜を洗うという作業を通じて、子どもは野菜が土から生えていることを学ぶことができます。そのほか、卵ひとつとっても、目玉焼きや玉子焼き、茹で卵などさまざまな料理を作ることができ、同じ卵から複数の料理ができるというのも子どもにとっては新鮮な知識となります。小さな子どもであれば、卵を割る、卵を混ぜる、茹で卵の殻を剥くといった作業の一つひとつが貴重な体験です。
また、料理をする時には刃物やコンロの火など、危険なものの使用も伴います。危険だからといってただ遠ざけるだけでなく、危険だけど便利なものであることや、正しい使い方をしないとケガをすることなど、危険なものの取り扱い方を教えるチャンスにもなります。
2. 規則正しく食べる習慣をつける🍚
食育の目的のひとつには、規則正しく食べる習慣を身に付けるということもあります。3食を毎日同じ時間にしっかり食べることで、生活リズムが安定し、身体だけでなく精神的な安定にもつながります。この習慣を幼少期から身に付けておくと、学校に通い始めてからも非常に役立ちます。
3. 家族で食卓を囲む🍅
幼少期の食育の最も重要な役割は、「食事は楽しいもの」と教えることです。共働き世帯も増加し、家旅が忙しい現代社会ですが、週に一度は家族みんなでおしゃべりをしながら食卓を囲む、時にはお友だちも交えて食事をする、などということを心がけるようにしましょう。
4. 食事のマナーを教える🍽️
食事を楽しむ上ではマナーも重要です。「いただきます」「ごちそうさま」といった挨拶や、お箸やお椀の持ち方などは、家庭でしっかり身に付けておくと、将来必ず子どものためになります。あまり小さなうちから厳しくしつける必要はありませんが、ある程度の年齢になれば、きちんとしたマナーを少しずつ身に付けていくように教えましょう。
5. 食に関する絵本を読む📕
子どもの食への関心を高めるために、特に幼児期におすすめしたいのが食に関する絵本を読み聞かせることです。食育のための絵本には、「好き嫌いをなくすもの」「食材に感謝する心を育むもの」などさまざまな種類があります。
6. 食に関するクイズで楽しむ❓
「食事の前の挨拶は何?」といったクイズであれば、子どもでも簡単に参加することができます。ほかにも、その日の食卓に上った食材の産地をクイズにするなど、家庭でも気軽に楽しみながら食育を取り入れることができます。
7. 親子料理教室に参加する🖊️
お子さんが料理に関心をもってきた場合、料理教室への参加もおすすめです。クリスマスやハロウィンなどのイベントの前は、親子で参加できる料理教室も数多く開催されています。近年ではお母さんだけでなくお父さんと一緒に参加するというお子さんも少なくないようです。
子どもの歯と口の健康について
歯と口の中の健康を保つことは、食生活を豊かにし、快適な人生を送るために大切なことです。歯科疾患の発生は年代によって変化します。ここでは、子どもの歯と口の健康を守る注意点を胎児期、乳幼児期、学童期、思春期に分けて学びます。
胎児期
歯の形成は胎児期に行われ、歯の質はこの時期にほぼ決まってしまいます。妊娠7週目頃から歯胚(乳歯の芽)ができます。妊娠4か月頃からは、その歯胚にカルシウムやリンが沈着して堅い歯になります。胎児への栄養補給として、妊婦は栄養バランスのとれた食生活が重要です。歯の成長に重要な栄養素は以下の通りです。
- ビタミンA(歯のエナメル質の土台を仕上げます)
- ビタミンC(歯の象牙質の土台を仕上げます)
- ビタミンD(カルシウムの代謝や石灰化を調節します)
- 良質のタンパク質(歯の基質の材料です)
- リンやカルシウム(石灰化のための材料です)
乳幼児期
乳歯は生後6~9か月頃から生え始め、3歳頃に生え揃います。虫歯になりやすい時期は3歳~6歳です。虫歯予防には「歯みがきの習慣づけ」「仕上げみがき」に加えて、定期的な診が必要です。生え始めは毛先の柔らかい乳幼児用の歯ブラシやガーゼで歯のまわりを拭き取ります。自分で歯みがきができるようになっても、保護者が仕上げをすることが必要です。
奥歯の噛み合わせ部分には複雑な満があり、ここに歯垢がたまり、虫歯が発生する可能性が高くなっています。かかりつけの歯医者を決めて、歯科検診で歯垢を取り除くことは虫歯の予防につながります。また、その際にフッ化物の塗布を受けることも虫歯予防に有効とされています。フッ化物には虫歯になりかかった歯の再石灰化(虫歯のなりかけを治すこと)を促進する作用と、歯垢の生成を抑える作用があります。
学童期
永久歯への生え替わりは5~6歳に始まり、12~13歳までに行われます。乳歯が抜けたり、永久歯が生えかけたりで歯の高さが不揃いになっているこの時期の歯みがきには、特に注意が必要です。歯ブラシがきちんとあたっているかどうかが、虫歯になるかならないかに直結します。最初の永久歯(第1大臼歯)は乳歯の奥に生えてきます。第1大臼歯は生涯にわたり咀嚼の中心になる歯で、生えるまでに1年~1年半もかかるため、歯ブラシがあたりにくく、注意が必要です。
思春期
思春期は大人へと身体の変化が起こる時期であるため、ホルモンバランスが子どもから大人へと変わります。その過程で、ホルモンバランスの影響により歯肉炎が発生しやすくなります。健康な歯茎は薄いピンク色で歯間部分にしっかり入り込み、触ってみると弾力性があり、引き締まっています。歯肉炎は歯茎に炎症ができた状態です。原因は、歯と歯茎の間(歯周ポケット)に歯垢が付着することです。その歯垢に細菌が繁殖して毒素を出すことから、歯肉が炎症を起こし、赤くなり、歯周ポケットも広がります。
歯茎を観察して赤くなっている、歯間部分の歯茎の先端が丸くなっている、歯ブラシで簡単に出血するなどの場合には、歯肉炎を疑い治療を受けることをおすすめします。歯肉炎の予防は歯垢の付着をなくすことです。しっかり歯みがきをし、歯科医で定期的に歯垢のチェックを行うようにしましょう。
まとめ
食育は、単なる食事の教育ではなく、子どもの一生の健康を支える大切な土台です。特に歯や口の健康は、食べ方や生活習慣と密接に関わっており、日々の小さな意識が将来の大きな違いを生みます。
バランスの取れた食事、よく噛む習慣、規則正しい生活を通して、強い歯と健やかな体を育てていきましょう。そして、家族で食卓を囲みながら、食の楽しさと大切さを子どもたちに伝えていくことが、何よりも効果的な食育の第一歩となります。
お子さんのお口の健康を守りたいとお考えの保護者の方は、きじま歯科医院にお気軽にご相談ください。


